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市政・研究

西濃圏域10市町合併に異議あり

 西濃圏域10市町(大垣市、養老町、上石津町、垂井町、関ヶ原町、神戸町、輪之内町、安八町、墨俣町、池田町)による合併研究会がこのほど「水と緑の情報文化交流都市をめざした市町村合併の検討」というパンフを発行しました。

 しかしその内容は、ばら色に描かれている表題とは裏腹に様々な問題が隠されています。合併すると「効率的行政が可能」とか、「サービスがよくなる」などと宣伝されていますが、果たして本当でしょうか。メリットばかりでなくデメリットも併記して住民の意見を仰ぐべきです。

「サービスは最高の自治体に、負担は最低の自治体に」といわれますが・・・

 パンフでは、最高のサービスと最低の負担に合わせた場合(パターン1)と大垣市のサービス・負担に合わせた場合(パターン2)を提示して検討していますが、どちらにしても、財源の裏付けは示されていません。資料でも明らかなように、介護保険料や保育料のように地域の事情で格差の大きいものがあります。

 例えば、大垣市の介護保険料は2960円ですが、上石津町の2400円に値下げして介護保険事業を成り立たせるためには、一般財源から資金を繰り入れしないと無理です。一方、上石津町の介護保険料を大垣市に合わせても、基盤整備の整わない周辺町では大垣市レベルのサービス提供の保証はありません。

 以上のことから、研究会報告書資料でいう「行政サービスは最高の自治体にあわせ、負担は最低の自治体にあわせることが行われるため、住民にとって直接的な経済効果につながる」という表現は欺瞞です。

西南濃地域合併調査研究会資料より(2002.8.14現在)

  大垣 神戸 輪之内 池田 上石津
保育料 3歳未満
3歳以上
(最高額)
54,000
29,000
35,900
18,700〜17,700
26,000
20,500〜19,000
34,000
22,000〜9,300
33,000
24,000
介護保険料 2,960 2,600 2,600 2,733 2,400
一般ごみ処分手数料(指定ごみ袋一枚につき) 一定量まで無料シール、不足の場合有料 大50円
小30円
大50円
小30円
大40円
小30円
大40円
小20円
水道料金 基本
     超過
〜8 700円
90円
〜10 750円
75円
〜10 1000円
80円
〜10 1680円
136円
〜10 600円
150円
留守家庭児童教室保育料(月) 0〜11000円 8000円内 7000円 5000円 未実施
巡回バス 実施なし 実施なし 実施 実施なし 実施
休日等の証明窓口 実施 実施 実施なし 実施なし 実施
乳幼児医療費助成 拡大分実施なし 就学前 就学前 就学前 就学前
住民1人当り借金 353,880 164,522 147,587 176,539 450,738
住民一人当り貯金 33,239 92,129 253,057 88,564 270,000

 

本当は合併すると地方交付税が35億円減らされます

 合併研究会では「合併によって46億円の経費が削減でき余裕財産となる」と言っていますが、実際は合併によって35億円の地方交付税が減額されるため、特例法により10年間据え置きとし、その間に自治体職員のリストラや庁舎・保育所・学校などの統廃合により経費を削減せざるを得ないのが実情です。研究会の報告書の中では、人件費の削減として、市長などの特別職40人から4〜5人に、議員174人〜46人,一般職員440人の削減が前提になっています。

 また、合併特例債で700億円が使えるとしていますが、これは基本的には国や地方自治体の借金で行われるものです。大垣市は過去10年間のバブル期の無駄遣いで岐阜県下でも有数の借金自治体になってしまいました。合併特例債に手をつけると、同じ過ちを繰り返すことになります。

 立派な庁舎をたてて借金をかかえるか、庁舎は古くても福祉充実で安心して暮らせる街や「30人学級実現」で未来の大垣市を支える子ども達を育てるか、大垣市民の選択にかかってくるのではないでしょうか。

「新設合併」というけれど・・・

 第4回研究会で他町から「編入合併であれば重大な決意をする覚悟がある」と迫れ、大垣市長は「新設合併」を表明しました。しかし、「市庁舎は大垣市内に」「新市名は大垣市」という条件で、3月までに法定協議会を立ち上げるというものです。果たしてこれが新設合併と言えるものでしょうか。

しっかりと議論をすべき

 住民に説明のないまま、大垣市議会の合併特別委員会も3回開かれたのみで、十分な議論もされないまま、法定協議会を立ち上げるとはいかがなものでしょうか。合併のメリット・デメリットをしっかりと提示し、住民の間でしっかりと議論を行い、住民投票など住民の意思が反映される機会を作るべきではないでしょうか。

 笹田トヨ子

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