視察 in 神戸 震災から10年の神戸に行ってきました
阪神・淡路大震災から10年経ちました。5月27日・28日と神戸市で「迫り来る大地震、自然災害にどう備えるか」全国フォーラム(主催:災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会、阪神・淡路大震災救援復興兵庫県民会議)が開催され、「防災問題分科会」に参加しました。そこで話し合われたことの一部をお知らせします。
全国フォ−ラムでは記念講演や各地被災地からの報告がありましたが、その間に「ファゴットとギター」の生演奏(写真)が30分間あり、お堅い話の合間によい気分転換ができよかったです。神戸の文化度が出ている場面でした。
コミュ二ティーの防災力
- 災害時職員が出勤できない。京都では1時間以内に出勤できる人を登録している。第1次、第2次、第3次と緊急時体制をとっている。
- 地域に住んでいる公務員が災害時、その地域の防災に当たるなどしてはどうか。
- 兵庫からの報告:「地域防災計画」が絵に描いた餅で、大震災のとき発揮しなかったが、10年経ってもほとんどすすんでいない。その大きな原因は“財政難”。「防災計画」の立派な冊子はあるがほとんど知らない。
- 住まいと環境改善ネットワーク:「まちづくりに防災の視点を」・・・地域からつくる防災計画が必要。地域を回ってパワーポイントで防災啓蒙活動を行っている。地震の基礎知識から津波の発生の仕組みや自治体が無料で「防災士養成講座」を開催。
- 市民版「防災マニュアル」の作成・・・ヘルパーの弱者の防災時要援護、ケアマネのバリアフリーチェックなど。
- 合併と災害・・・小さな町の防災で問題なのは、合併によって職員の削減や配置転換によって地域をよく知っている職員がいなくなったこと。旧村単位で防災の自治組織を作ることが大切。
- 広域の常備消防と地域ごとの非常時消防や自主防災組織が必要。
- 問題は、自治体の防災対策部署とコミュ二ティー部署と別々になっているところが多い。また、自治会がトップダウンの活動になっている。
- 岡山玉野市:昨年の台風16号・23号のとき「防災計画」は作ってあったが役には立たなかった。住民の側から見直しをする必要あり。
- 大規模災害は広域応援体制が必要だが、基本的にはまず自治体で体制をとること。市民の安全・防災は「自治」の問題。自治体がどれだけ予算化するかである。
- 地震の時、「消防」はすぐには役に立たない。行政の責任を明確にするとともに、地域でしっかりと防災の力を発揮することが大事。
- 福岡市職員:震度6弱の地震だったが、パニック状態になり、みんな安否確認に電話に集中、しかし通じない。3連休の真ん中の日で、職員は2割程度しか出勤できなかった。周辺地域の情報は翌日になって入ってきた。市職員が動けない中では、住民はどうするか、日頃の訓練がないとダメ。周辺40軒に声をかけた。地域住民の自治能力がものをいう。
- 地域防災が地域防犯に変わっていた。警察OBと一緒になって自警団組織を作ってここ数年取り組んできたが、今回の災害には機能しなかった。
- 東京・土木:防災問題はこの10年間、それぞれの分野で進んだ。様々な人が集まって防災について話しあった。団地では、訓練だけでなくこの地域の地盤について知りたいと学習。組合は防災シンポを行った。建築・消防・自治会などの連携や分野を超えた検討会が必要。
「国民保護計画」と「防災計画」
- 国民保護計画がトップダウンですすめられているが消防署の縮小など防災がなおざりにされるのではないか。
- 京都府では「国民保護計画」の評議会が開始され、知事は自衛隊の活用に意欲的。土木事務所を10から7に統合するなど縮小する一方、国民保護体制を強化している。各地で説明会が開かれているが、武力攻撃にかかわる内容が核攻撃の場合など“想定できないもの“を押し付けている。フロアーからは武力攻撃が起きないように力を入れるべきではないかと発言あり。訓練内容:”武力対応が先か、住民避難が先か“議論をすればするほど「国民保護計画」が非現実的であることが明らかになってくる。
- 消防庁は総力を挙げて国民保護計画に取り組んでいる。災害は戦争によって生じるものも自然災害で発生するものも消防の役割はおなじである。全力をあげて取り組まなければならない。違う点は台風にしても地震にしても自然災害は今の科学でなくすことは出来ない。しかし戦争は人間の力で止めることができる。核兵器の例でも明らかなように戦争が一たび起きてしまえばどれだけ対応策をとっていても無理である。防災の大原則は予防である。戦時体制の保護計画ではなく、平常時の防災対策が大切である
耐震診断・耐震住宅改修
- 福岡の地震:震度6弱で築4〜7年のビルに亀裂が入り、ゆがみでドアが開かなくなった。倒壊しなくても避難できない状態があった。
- 耐震補助があっても費用がかかるため住宅の耐震補強工事があまり進んでいない。静岡では「壊れても死なない程度」(減災対策)の耐震補強制度で比較的安価でできる。
- 東京の土建組合では設計士と大工さんがタイアップして、地域活性化の視点で家のリフォームメニューに耐震化とバリアフリーを入れている。耐震診断を無料でやるといって営業にくる業者はインチキが多い。